夢枕に立つ両大師の運勢地蔵
どんな伝承か
幼いころに覗きからくりで地獄を見せられて以来、著者は地蔵尊に親しみを抱き続けてきた。いまでも上野の両大師にまつられている運勢地蔵尊のもとへ、たびたび参りに出かけるという。この地蔵は、著者が病気になったときなど、よく夢枕に立つのだそうである。作り話ではなく本当のことだと著者は言い添え、まったく不思議なことだと書いている。地獄の見世物で受けた恐ろしさと、賽の河原で石を積む子どもたちへの哀れみが、この信心のもとにあるとも述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私の心霊術(長田幹彦・1955年(昭和30年))
『私の心霊術』は、長田幹彦が昭和三十年に著した心霊研究の随筆集である。死後に残る霊や地獄・極楽をめぐる考えを述べ、熊本の家系や安達謙蔵との交わり、東京放送局の文芸顧問だったころの回想、霊友会など戦後の新興宗教への批判、前著『霊界』への反響と自らの信仰を語る。「心霊科学の来世観」「霊界の構造」「ぼくの信仰」などの章からなり、末章「ある霊媒の生態」では霊媒服部との実験とそのトリックの顛末を描く。