油に黒ずむ子授けの鼻かけ地蔵
どんな伝承か
古市町に立つ高さ一・八メートルほどの地蔵は、昔、岩井川の大洪水でどこからか流れ着いたものだという。里の人々が引き揚げようとしても像は動かず、信心の篤い老人が来ると難なく上がった。その夜、老人は種油をかけて拝めば子が授かるとの告げを受け、言われたとおりにすると間もなく子を得た。以来、子を望む者が種油を注いで祈るようになり、像は油で黒く光っている。鼻かけ地蔵の名もあり、勝利を祈って負けた力士が腹立ちまぎれに石を投げて鼻を欠いたところ、その力士も帰路に倒れて鼻を打ち、命を落としたと伝える。
原典より
一・八メートルほどもある大きな地蔵尊で、昔岩井川に大洪水があったとき、どこかから流されて来たという。—— 奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史)
『奈良市史 民俗編――伝説』は、自治体史『奈良市史』民俗編のうち、第十一章「伝説」と巻末の「民俗資料」の冒頭を収めたものである。昭和三十七年から三か年にわたり市内各町の自治会長や古老、社寺を訪ねて集めた伝説に文献の伝えを加え、春日大社・東大寺・興福寺などの社寺や、吉備真備・俊寛・中将姫らゆかりの人物にまつわる話を収める。木・石・塚・水・山・森・社寺・人物・動植物・町名の十節に分け、一話ごとに題を立てて記す。