行法より効いた一本の注射
どんな伝承か
十三回ほど霊のエクササイズを受けたころ、著者は自分の症状が神経の不調から肉体の病へ姿を変えていることに気づいた。こっそり医者に診てもらうと、込み入った精神障害ではなく脚気の合併症だという。ビタミン剤とアリナミン剤の注射を受けたところ、足の運動障害はたちまち治まった。書斎にこもって運動を欠く暮らしの弱みに神経症がつけ込んだらしい、と著者は悟る。十三回の行法で少しも治らなかったものが一、二回の注射で快方へ向かったのは何とも皮肉だった。胃癌の患者も妻に説かれて新薬へ切り替えていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私の心霊術(長田幹彦・1955年(昭和30年))
『私の心霊術』は、長田幹彦が昭和三十年に著した心霊研究の随筆集である。死後に残る霊や地獄・極楽をめぐる考えを述べ、熊本の家系や安達謙蔵との交わり、東京放送局の文芸顧問だったころの回想、霊友会など戦後の新興宗教への批判、前著『霊界』への反響と自らの信仰を語る。「心霊科学の来世観」「霊界の構造」「ぼくの信仰」などの章からなり、末章「ある霊媒の生態」では霊媒服部との実験とそのトリックの顛末を描く。