銀座のビルに現れた小使の娘
どんな伝承か
銀座のあるビルの二階に勤める小使は、犬ちゃんの愛称で皆にかわいがられていた五十四の男である。その一人娘えみ子が夏の海岸で投身し、遺体となって帰ってきた。父に頼まれた著者が招霊すると、えみ子は三分ほどで現れ、沢田と喧嘩してかっとなり死んでやったのだと泣き声で明かした。沢田は男ではなく同僚の女事務員で、勤め先で確かめると前日に諍いがあり、えみ子は帳簿の不正を認めて翌日岩から飛び込んだことが分かった。肩の傷まで検案書と合っていた。のちの晩、著者はオーバーを羽織って大股に歩く彼女の姿を見た。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊界五十年(長田幹彦)
『霊界五十年』は、長田幹彦が自らの心霊体験を一人称でつづった随筆集である。霊媒亀井三郎の実験に立ち会った話に始まり、大正十四年に東京中央放送局で見た変死した技師の霊、自殺者の霊、神隠し、心霊写真、死者の霊との交わりなど、長年にわたって見聞きした出来事を語る。「亀井霊媒の実験」「放送局の幽霊」「霊界夜話」「幽霊のキスマーク」などの短い章を連ね、心霊研究の知人や医師との問答を多く交える。