郁子の感光と酒石酸味覚
どんな伝承か
明治四十四年一月四日、香川県丸亀市の長尾邸で、今村博士らが長尾郁子の至難な実験を試みた。三枚重ねた乾板の中央のみに「川」の字を求めると、四十秒で映写し、開くと漆で書いたように明確に現れた。念射の際は全身から熱汗が滲み、合掌した掌まで濡れた。休憩後、大黄末・砂糖・酒石酸の紙包から一つを小箱に収めて透覚させると、幾子は「白くて軟らかくビリビリして酸っぱい」と答え、開けると酒石酸で的中した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊哲学の現状(高橋五郎・1919年(大正8年))
『心霊哲学の現状』は、高橋五郎が大正八年に著した心霊研究の概説書である。英国のロッジが戦死した子レイモンドの霊と交わした冥界通信をはじめ、欧米の交霊術と霊媒の実例を訳して紹介し、日本の催眠術と千里眼の流行、御船千鶴子・長尾郁子の事件、霊光や念写までを論じる。篇と章に分け、心霊哲学とキリスト教、クリスチャン・サイエンス、淘宮術との関係や、太霊道など国内の霊術諸派も取り上げ、ところどころに評註を添える。