屏風の水の字にもたれて死んだ子
どんな伝承か
昔、手相見がある家を訪れ、この家の子には水の災難があるから用心しなければならないと告げ、それが何日のことかまで言い置いていった。家の者は心配して、その日が来ると子を表へ出さず、座敷に閉じこめて周りに屏風を立て、その中に座らせておいた。ところが、しばらくたってから様子を見に行くと、子は屏風に書かれた『水』の字に寄りかかって死んでいたという。どれほど用心しても予言からは逃れられなかったという昔話で、星越の軒原さつきが語った。
原典より
それからしばらくしてその家の者がいて見ると、子供は屏風の中の水の字にもたれて死んどったそうな。—— ダムに沈む ―香川県長尾町前山地区民俗誌(武田明・高橋克夫ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ダムに沈む ―香川県長尾町前山地区民俗誌(武田明・高橋克夫ほか)
『ダムに沈む ―香川県長尾町前山地区民俗誌』は、武田明・高橋克夫らが香川県長尾町の前山地区の暮らしを記した民俗誌である。祭りの項に続く「口承文芸」の項を昔話と伝説・世間話に分け、昔話は星越・大多和・譲りはの古老の語りを話者の名を添えて土地の言葉のまま書きとめる。伝説と世間話には中津・大多和・ゆずりはなどの天狗石や川女郎、首切れ馬、桂洞法印の化物寺の話を収め、項の末尾に執筆者の名を記す。