サンダラで呼び戻した親の失踪と死
どんな伝承か
昔、ある家で親がふいに居なくなった。村の人が大勢出て探しまわったが見つからず、サンダラを呼んで連れ戻した。また居なくなってはいけないと嫁に番をさせていたが、嫁が茶を炊いていると「あら手ー」という声がした。嫁が行ってみると親はもう居らず、あわてて皆で探しまわると、くろべの奥で首を吊って死んでいたという。サンダラヨブというのは、人がいなくなったときに屋根の棟へ上り、箕を頭にかぶって一升桝をうつぶせにして、いなくなった人の名を大声で呼ぶことをいう。その声は十里四方に聞こえるという。
原典より
あわてて皆で探しまわるとくろべの奥で首吊って死んでいたという。—— ダムに沈む ―香川県長尾町前山地区民俗誌(武田明・高橋克夫ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ダムに沈む ―香川県長尾町前山地区民俗誌(武田明・高橋克夫ほか)
『ダムに沈む ―香川県長尾町前山地区民俗誌』は、武田明・高橋克夫らが香川県長尾町の前山地区の暮らしを記した民俗誌である。祭りの項に続く「口承文芸」の項を昔話と伝説・世間話に分け、昔話は星越・大多和・譲りはの古老の語りを話者の名を添えて土地の言葉のまま書きとめる。伝説と世間話には中津・大多和・ゆずりはなどの天狗石や川女郎、首切れ馬、桂洞法印の化物寺の話を収め、項の末尾に執筆者の名を記す。