盗賊の針金を見抜いた博労幸太郎
どんな伝承か
白岩生まれの名博労幸太郎は、毎年春秋に子馬を数珠つなぎにして上州や野州へ売りに出た。ある年、三依郷五十里村あたりまで戻ってくると田植え前で忙しそうなので、冗談に手伝いを申し出てそのまま長逗留していた。ある夜更け、旅の夜盗が押し込んで長者の主人以下を針金で縛り、倉庫や金庫を荒らして逃げた。作業土間の隅に寝ていた幸太郎だけは縛られず、すぐ町へ出て火事触れをして人を集め、縛られた家人を解いた。会津萱手の技を持つ幸太郎は、その針金が萱屋根の下木押えに使う古針金だと見抜いて職人の素性を割り出し、盗賊一味の捕縛に貢献したという。
原典より
白岩生まれの名博労幸太郎は、毎年春秋上州、野州の方へ子馬売りに出る。—— 下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説(下郷町(編)・下郷町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説(下郷町(編)・下郷町史)
『下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説』は、会津の下郷町の町史民俗編のうち、町内の伝説を集めた第二節である。鏡沼の大蛇や二岐山のダイタンボウ、狼に食われた祖母、湯野上温泉猿湯の由来、高倉宮以仁王と桜木姫・紅梅御前の落人伝説、伊達政宗の戦の悲話、小野の長者と小野観音の金の鰐口などを収める。伝説を自然伝説・歴史伝説・信仰伝説に分け、各話に地名や供養塔・墓・文化財の現状を書き添えている。