朝鮮出兵の前に秀吉が厳島で投げた銭
どんな伝承か
卜筮には利と害の両面があると著者はいう。自分では決めかねる大事に当たって占いで可否を決めれば、迷いを断ち心を定める助けにはなり、昔は政策に用いられたこともあった。その例として挙げられるのが、秀吉が朝鮮へ兵を出すとき、厳島で銭を投げて吉凶を占ったという話である。占いで大吉が出たといえば兵の士気を高めるのに多少は役立ったにちがいない、と著者はみる。ただし、卜筮のために害を招くことも多いと付け加えている。
原典より
例えば秀吉が朝鮮に兵を出す時に、厳島にて銭を投じて吉凶を判じたという話のあるごとくに、…—— 迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年))
『迷信の諸相・宗教の真相』は、井上円了が大正五年に刊行した『迷信と宗教』を、新しい題を付け現代の表記に改めて翻刻した本である。琉球・伊豆七島・壱岐対馬から北海道まで、著者が各地を巡回して見聞した犬神・人狐・河童・狐憑きなどの迷信と、怪火・天狗・幽霊・鬼門・卜筮・家相・禁厭など全国共通の迷信を挙げる。迷信の利害と原因を論じたのち宗教の真相を説き、余論に妖怪学の短編、附録に幽霊鬼神と霊魂不滅をめぐる論を収める。