霊術家の古戦場となった武並村
どんな伝承か
著者らは徹夜の談笑のあと、明治末期から大正にかけて時代を震撼させた維新以後最大の霊術団体・太霊道の本拠地を訪ねた。多治見市を出発し、山間に切り拓かれ河とともに走る自動車道を数十分。霧雨のなか目的地の標識を見たその場所は、両側に山が迫り無人駅が村の中央にある山間の僻地で、予想以上のさびれようであった。西側の丘陵は斜面全体に屋並が頂上まで続き、東側は明治以来ほとんど変わらぬ田園地帯がすぐ山に接している。著者はその山並みを見つめながら「古戦場」という言葉を連想し、霊場でも聖域でもない独特の地の気を感じたという。霊術を授ける者と志望者が際限なく出会った土地であった。
原典より
霊術家の古戦場、武並村は鎮まりかえっていた。—— 霊術家の饗宴(井村宏次・井村宏次・霊術研究・1983年(昭和58年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊術家の饗宴(井村宏次・井村宏次・霊術研究・1983年(昭和58年))
『霊術家の饗宴』は、井村宏次が一九八三年に著した近代日本の霊術家の歴史である。明治から昭和初めにかけて、気合術・催眠術・霊子術などで民衆の病や苦しみを救おうとした霊術家たちの運動を、当時の新聞記事や刊行物、関係者の家族への取材をもとにたどる。プロローグと六章、エピローグからなり、浜口熊嶽、桑原天然、福来友吉と千里眼事件、太霊道の田中守平を章ごとに取りあげ、霊術ブームと取締法による衰退までを描く。