志願者が押し寄せ駅まで生まれた寒村
どんな伝承か
東京から故郷へ道場を移したあとも、田中守平の太霊道には志願者が次々と訪れた。山あいの寒村は訪問者をさばききれず、産業のない村に民宿のにぎわいが生まれ、押し寄せる郵便物を扱うために郵便局が呼び寄せられ、大正十四年にはついに国鉄の駅まで設けられたという。丘の頂にある道場へは桜並木の美しい大参道が通じ、その登り口には巨大な一対の石門がそびえて、志願者たちを見下ろしていた。順風満帆に見えたこのころ、守平の夢は膨らみ続けていた。
原典より
現地取材によると、山間の一寒村は訪問者をさばききれず、産業なき村に民宿ブームをつくり出し、殺到する郵便物をさばくために郵便局をよびよせ、ついには大正一四年国鉄の駅が設置されたのだ!—— 霊術家の饗宴(井村宏次・井村宏次・霊術研究・1983年(昭和58年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊術家の饗宴(井村宏次・井村宏次・霊術研究・1983年(昭和58年))
『霊術家の饗宴』は、井村宏次が一九八三年に著した近代日本の霊術家の歴史である。明治から昭和初めにかけて、気合術・催眠術・霊子術などで民衆の病や苦しみを救おうとした霊術家たちの運動を、当時の新聞記事や刊行物、関係者の家族への取材をもとにたどる。プロローグと六章、エピローグからなり、浜口熊嶽、桑原天然、福来友吉と千里眼事件、太霊道の田中守平を章ごとに取りあげ、霊術ブームと取締法による衰退までを描く。