呪いの人形が指した放火魔
どんな伝承か
ノロイの人形につけた指紋から捕まった変質青年の放火魔の話がある。弘前署が解決した事件で、南津軽郡藤崎町の農業三浦俊雄(二十五)を逮捕して調べたところ、各部落で十八回も放火していたことを自供した。検挙の端緒は、葛西勇さん方から出火したとき現場に残された足跡のほか、近くのリンゴの木の幹に打ちつけてあった約三十センチのノロイ人形であった。この人形の頭に紙を使ったのが運のつきで、鑑識課がその紙についた指紋を検出できたことが動かぬ証拠とされた。人を呪うための人形が、かえって犯人自身を指し示す証拠になったのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。