かつて家鴨を射られた菅谷方が火事になり
どんな伝承か
かつて飼っていた家鴨を何者かに矢で射られたことのある香取郡八都村神生の農家菅谷武雄方が火事になり、女中や娘二人は戸外へ逃げて助けを求めたが、武雄夫婦と幼い子供二人は逃げ遅れて焼死した。大正五年正月元日、警官が焼け跡を調べると、遺体には全員に斬りつけたようなむごい刀傷があり、黒い筒袖の外套を着た小柄な兇賊が放火で犯跡を隠した凄惨な一家皆殺しと判明したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奇談全集 現代篇(田中貢太郎・奇談全集)
『奇談全集 現代篇』は、田中貢太郎が明治・大正の世に起きた事件や奇談を読み物に仕立てた実話集である。明治十一年に相模の真土村で起きた松木騒動、大正十四年に千葉の久賀村で起きた鬼熊の事件など、一揆・殺人・盗みの事件、遺言状をめぐる話、奇人の話、幕末の暗殺を、関係者の話や記録をもとに描く。各話は章を立てた読み物で、松木騒動には筆者が大正六年に現地を訪ねて聞いた補遺を付す。