菅谷家の池の鳥を射た手製の矢
どんな伝承か
大正四年四月十九日の夜、香取郡八都村神生の農家菅谷武雄の家で、池に飼っていた二羽の鳥が何者かに矢で射られ、一羽は翌日死んだ。辺りには、篠竹に油紙の矢羽をつけ三稜錐の鏃を付けた手製の矢が数本落ちていた。悪戯か盗みが目的かも分からず、たいしたことでもないとしてそのままにされたが、のちに隣村で同じような矢が射込まれる強盗殺人が起き、警察はこの一件を知ることになった。菅谷の一家はその年の暮れ、家を焼かれて四人とも惨殺される。
原典より
武雄の家では、池に飼ってあった二羽の鷹島を何ものかにで射られて一 は其の翌日死んだ。—— 奇談全集 現代篇(田中貢太郎・奇談全集) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奇談全集 現代篇(田中貢太郎・奇談全集)
『奇談全集 現代篇』は、田中貢太郎が幕末から大正にかけての事件や奇談を読み物に仕立てた作品集である。明治十一年に相模の真土村で起きた松木騒動、大正十五年に千葉の久賀村一帯で起きた鬼熊の事件、香取郡の連続殺人、伊賀上野の破獄、京都の天誅などを、記録や関係者の話をもとに描き、松木騒動には筆者が大正六年に現地を訪ねた補遺を付す。播磨屋橋遺聞のように、筆者自身が創作と断る話も含む。