三人見た白い手の幽靈
どんな伝承か
明治二十七年四月、下総国香取村を訪れた保田守太郎が佐原小学校の教員数名から聞いた話。香取郡小見川町にあった菓子店と割烹を兼ねた「梵花」という店で、その七年前の四月中旬、宿泊した区役所の書記が夜、血にまみれ黒髪を振り乱した女の幽霊を見て絶叫した。さらにその三年後、別の客が襖の隙間から白く細長い女の腕が現れるのを目撃し、隣室の客も墓場で女の腕に引かれる夢を見て叫んだという。二人の客はのちに互いの体験を語り合い、その因縁に驚いたと伝わる。
原典より
* 他女の體に宿る幽靈* 伯母の幽霊が暇乞* 幽霊の髪を剃る* 改葬を頼む幽霊* ハムレットの見た怨靈* 喙木鳥となった守屋* 菅公の怨靈—— 幽霊は語る(梶天真・1938年(昭和13年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽霊は語る(梶天真・1938年(昭和13年))
『幽霊は語る』は、梶天真が昭和十三年に編んだ幽霊譚と幽霊論の集成である。葬送の習俗や海外の霊魂観から説く幽霊思想、幻覚や網膜の作用による幽霊の説明、乃木大将や許斐大尉の見た幽霊などの実話、古典や伝説に現れる男女の幽霊・怨霊・生霊、幽霊写真、化物屋敷、霊界通信を集める。三篇に分かれ、第二篇は幽霊を男女・怨霊・生霊・小児の見た幽霊・食物に縁ある幽霊・前知らせなど八項に分類し、巻末を夕張と筑前の幽霊問答で結ぶ。