銭洗弁天の種銭で倍増の願い
どんな伝承か
身の上相談で、神奈川県鎌倉の銭洗弁天の水をかけた銭を種銭にすると倍に増えるというが信じてよいか、と三十三歳の男性が尋ねた。著者は、本当に敬虔な精進の暮らしができるなら信じてよいと答える。銭洗弁天を心から信じ、正しい暮らしを続けて努力を重ねることが条件で、千円札や一万円札に水をかけて寝ていれば翌日倍になるわけではないという。神仏は奇跡をもたらすことはあっても手品師ではなく、商取引の相手でもないとし、洗った種銭はお守り代わりに財布へ入れておく程度がよいと勧めている。
原典より
神奈川県鎌倉にゼニアライ(銭洗弁天)があって、その水をかけた銭を種銭にすると、倍増できるというが、信用してよいか。—— 現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。