けれ坂で祝言に招かれた豆腐屋
どんな伝承か
むかし村に丑五郎という豆腐屋があり、自分で作った豆腐や油あげを行商するのが日課であった。ある日、天気がよいので樋渡村へけれ坂を通って行ったが、この農道は日中でも薄暗く雑草が生い茂っている。行けども行けども樋渡に着かず、ようやく村はずれの一軒家にたどり着いて声をかけると、その家は祝言の最中で、丑どんも上がって祝ってくれと言われ、酒好きの丑五郎は一緒に酒盛りを始めた。ところが夜中になっても帰らないので、家の者が翌朝暗いうちにけれ坂へ捜しに行くと、田の中の馬の堆肥の上で、馬の飼葉や泥の団子、木の葉を肴に一人で酒盛りをしていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史)
『会津坂下町史 1(民俗編)――伝説』は、会津坂下町の町史民俗編のうち、第二十章「伝説」を収めたものである。高寺山の黄金千杯、佐原・栗村の水田開発、交通路、空也・徳一、神仏、地名、雨ごい、狐、笑い話・逸話、妖怪変化、部落の起源、人物にまつわる町内の伝説を集める。冒頭で伝説の意義と自然・歴史・信仰の三分類を述べ、主題別の節に分けた各話の末尾に話者と、井関敬嗣・薄嘉明ら執筆者の名を記す。