四斗臼を背負って桃の木に登る賭け
どんな伝承か
牛沢の留吉という人は賭け事の好きな人で、村の集まりがあるとすぐ賭けをした。ある暖かい春の日、友達が数人遊びに来た。ちょうど春の節供で、餅をついた四斗張りの大きな臼を洗うため用水場へ持って来てあり、そのそばに大きな桃の木が一本あった。一人が、この臼を背負って桃の木に登れるかと言い、清酒一升を賭けることになった。四斗臼は重さ二十貫目もあったが、留吉は臼を背中に縛りつけて登り始めた。中ほどまで来たところで枝がくの字に曲がっていたため体が傾き、重心を失って臼を背負ったままぶら下がる形になり、助けを求めて賭けに負けたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史)
『会津坂下町史 1(民俗編)――伝説』は、会津坂下町の町史民俗編のうち、第二十章「伝説」を収めたものである。高寺山の黄金千杯、佐原・栗村の水田開発、交通路、空也・徳一、神仏、地名、雨ごい、狐、笑い話・逸話、妖怪変化、部落の起源、人物にまつわる町内の伝説を集める。冒頭で伝説の意義と自然・歴史・信仰の三分類を述べ、主題別の節に分けた各話の末尾に話者と、井関敬嗣・薄嘉明ら執筆者の名を記す。