麦藁の馬を焼く布沢の送り神
どんな伝承か
悪い病の神を追い払う送り神の行事はさかんで、部落ごとに日取りがちがう。布沢では旧暦の十二月八日に麦藁で馬をこしらえ、村はずれで送り神の火を焚いて、その火の中に馬を入れて燃やした。こうすると風邪をひかないという。ただし帰り道にこの火を振り返って見ると、かえって風邪をひくとされた。著者は、悪い病の神の乗り物である藁の馬を村はずれで焼いて病を送り出す行事とし、振り返ってはならないのは、厄神が後をついて来るのを恐れる気持ちと同じだと述べている。
原典より
布沢では旧の十二月八日に麦藁で馬をこしらえて、村はずれで送り神の火を焚き、その火の中に馬を入れてもやした。—— 厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年))
『厄除け――日本人の霊魂観』は、佐々木勝が昭和六十三年に名著出版から刊行した民俗信仰の論考集である。鬼・悪魔・疱瘡神・一つ目小僧など人に災いをもたらす神霊を「厄神」と総称し、その来訪を防ぐ呪術と祀り上げる祭祀を、著者の民俗調査と国学院大学民俗学研究会の採訪記録などの事例から説く。禁忌と呪術、百鬼夜行と目籠、鬼の宿と笹神様、年神とミタマの飯、厄年と年祝い、正月行事と司祭者など八章からなり、うち四章は書き下ろしである。