公民館を船に見立てる正月二日の船祝い
どんな伝承か
住吉から少し北にある塰泊の集落では、正月二日に船祝いが行われる。会場の公民館を船に見立てて、上座をオモテ、下座をトモと呼ぶ。オモテの中央には、桃の枝に蒲鉾や金柑、蜜柑をたわわに刺した蓬萊を飾って酒肴を並べ、館内に祀るエビスに灯をともす。神職や僧の姿はなく、皆が席に着くと船祝い唄をおごそかに歌って無礼講になる。集落の船主は残らず出席し、館内は船旗で彩られる。ここではベンザシの引き継ぎは船祝いの場ではなく、十二月の初申の日の朝五時ごろにごく少数の者だけで行い、酒肴の道具や膳を受け渡すという。
原典より
会場の公民館を船に見立て、上座をオモテ、下座をトモと呼ぶ。—— 厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年))
『厄除け――日本人の霊魂観』は、佐々木勝が昭和六十三年に名著出版から刊行した民俗信仰の論考集である。鬼・悪魔・疱瘡神・一つ目小僧など人に災いをもたらす神霊を「厄神」と総称し、その来訪を防ぐ呪術と祀り上げる祭祀を、著者の民俗調査と国学院大学民俗学研究会の採訪記録などの事例から説く。禁忌と呪術、百鬼夜行と目籠、鬼の宿と笹神様、年神とミタマの飯、厄年と年祝い、正月行事と司祭者など八章からなり、うち四章は書き下ろしである。