二十日正月のヤイトと若水の呪い
どんな伝承か
黒川郡大和町の二十日正月では、神に餅を供えて若水を汲み、汲みおいた若水を屋根へかけた。火事を避けるまじないだという。この日の小豆粥を体に塗っておけば、夏にブヨや蚊に刺されないともいわれた。二十日のヤイトと称して、前の年の五月節供に使った蓬をもみ、神への供物皿に入れて火をつけ、頭へ持っていって頭痛が起きないようにと唱える。腹や手足にも同じようにし、敷居にまで疲れをとると称して灸のまねをした。門口で焚けば化け物が来ないともいう。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年))
『厄除け――日本人の霊魂観』は、佐々木勝が昭和六十三年に著した民俗信仰の論考集である。鬼・悪魔・疱瘡神・一つ目小僧など災いをもたらす神霊を「厄神」と総称し、その来訪を防ぐ呪術と祀り上げる祭祀を、著者の民俗調査と各地の採訪記録の事例から説く。禁忌と呪術、百鬼夜行と目籠、鬼の宿と笹神様、厄年と年祝い、正月行事と司祭者など八章からなり、五章は書き下ろしで、章ごとに注を付す。