生き埋めの和尚と鈴が鳴りやんだ長者屋敷
どんな伝承か
モンノコシ長者の類話は各地にあるが、著者は宮城県黒川の宮床で採集したという。ウドの森のふもとにモンノコシの長者がいた。長者の屋敷と信楽寺という寺は境が接しており、争いが絶えなかった。長者は金を使って偽の証人を立て、和尚を代官に訴え、代官をも買収した。和尚が裁断の不当を訴え返すと、代官は不届き者として生きながら土中に埋めよと命じた。和尚は干柿一連を持って穴に入り、二十一日間ここへ通ってくれと遺言した。穴からは毎日りんりんと鈴の音がした。二十一日目の夜、長者屋敷ですさまじい音がして塀が倒れ、家族は急死して絶えた。鈴は翌日からぴたりと止んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年))
『怪談の世界』は、山田野理夫が昭和五十三年に著した怪談の研究随筆である。遠野での佐々木喜善と柳田国男の出会いから説き起こし、家・山・木・石・道・水・火に現れる妖怪、憑き物、鬼と天狗、生霊・死霊・幽霊の話を、著者の聞き書きや各地の民俗資料、古典・芝居から集め、沖縄の話で結ぶ。章立ては江馬務と柳田国男の妖怪分類を参考にしたもので、民俗学の資料と文学作品の両面から怪談をとらえようとしている。