米一粒で金を生む白い小犬
どんな伝承か
岩手郡沼宮内に松之助という手習師匠がいた。教え子と伊勢参宮に上ることになり、旅立ちの前に山で木を伐っていると、沼から美しい女が現れ、大阪の近くのミゾロケ池に住む姉オカルへ手紙を届けてほしいと頼んだ。松之助は参宮の帰りにその池を訪ね、手紙を渡すと、礼に小箱を与えられた。中には白い小犬がおり、一日に米粒を一つだけ食わせれば金を一つ返すという。松之助は五年で五つの土蔵を建てたが、留守に女房が米を一掴み食わせたため犬はただの犬となり、遠野の物見山の沼に入って主となった。松之助は元の貧乏に戻ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。