薬師様の松の下に立つ女を見た木挽
どんな伝承か
今から一五年ほど前のことである。薬師様の樹を売ったとき、伐採に入った木挽が、松の木の下に女の立姿を見た。その後すぐに病気になって、そのまま死んでしまったという。この土地では、神社などの樹木を伐るときは、あらかじめ祈禱をすませてから伐るものであると言い伝えられている。神木に手をつける前に必ず一手間を置くという作法が、こうした出来事とともに語られてきた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。