五天王山の榊に手を出した者の病
どんな伝承か
五天王様というものがある。熊野様とか天王様とか、五つの大王を祀ってあり、その山を五天王山という。やかましい神様である。語り手の婆さんが榊の大木の枝を折り、詫びに枝を挿してきたのだが、一週間もたたないうちに背中に命にかかわるような病気にかかり、死にはぐった。あの榊を折った者は必ずやられると、寺でもその謂れを知っているらしい。その榊は御神木で、家では毎年正月に幣束を上げていた。婆さんが山から拾ってきて育て、境内に植えた榊を誰かが五、六本切ってしまい、その者も胃かいようか何かで入院したと聞いたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。