弓筈の清水が湧いた北上山の矢留杉
どんな伝承か
源義家が軍勢の渇きに苦しむさまを見て観音に念じ、矢を放つと一本の杉の根元に落ちた。その矢先を弓筈で穿つと清水が湧き出したので、これを弓筈の清水と呼び、杉を矢止めの杉と名づけたという。別の伝えでは、天喜五年六月、安倍貞任を討った義家がこの地に来たとき、炎熱で兵が渇きに苦しんだため、兜に納めていた観世音を石の上に据えて祈り、弓筈で岩を穿ったところ冷たい水が湧いたという。今の杉は二代目にあたる。
原典より
義家軍兵の渇に苦しむを見て觀音を念じ矢を放つと、一の杉の根元に落ちた。—— 日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。