生贄となり大蛇を退けた雪姫
どんな伝承か
大変な地所と下人を持つ長者がいた。下男下婢は三百六十五人で、一日休ませれば一年休んだことになると言って雨風を呪うほど貪欲であった長者の妻女が、火難に遭った。やがて村では、一年に一人ずつ良い娘を池の主に生贄に供えねば、この辺り一帯を泥の海にすると告げられた。豪家の一人娘の順番になったとき、使者が山中の一軒家で母娘に出会い、身代わりに雪姫が立った。池のほとりの櫓に登った雪姫を大蛇が一呑みにしようとしたが、雪姫は無事に戻り、黄金と宝の珠を得たという。
原典より
或る郷に、大変な地所や金を持つた長者があつた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。