赤飯を食べた沼の主の大鰻
どんな伝承か
昔、滝沢と鵜飼の境に底知れずと言われた古沼があった。或る時、近所の若者七、八人が山椒の木の皮を臼で搗いてカラカを作っていると、汚い旅僧が来て何にするのかと尋ねた。若者たちが細谷地の沼へ持って行って揉み、大漁にするのだと答えると、僧は、それでは沼の魚が大小残らず死ぬ、生き物の命を取るのは罪深いと言って思い止まるよう頼んだ。若者たちは乞食坊主と罵り、盆の十三日だからと赤飯を与えて追い払った。翌日カラカを揉むと大漁で、最後に回り一尺長さ六尺もの大鰻が捕れ、腹を割ると赤飯が出た。旅僧は沼の主であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。