十三番目の座敷で雌鶏になった女
どんな伝承か
或る女が薪を採りに山へ行くと、奥山に見たことのない立派な家があった。不思議に思って訪ねると、大きな家にたった一人の女房がいて、自分が帰るまで留守を頼む、どの座敷を見てもよいが十三番目の座敷だけは決して見てはならないと言い置いて出て行った。女房はなかなか帰らず、女は座敷を一つずつ見て回った。黄金の座敷、朱膳朱椀の座敷、銀銭の座敷、唐銅鉢に金屏風の座敷、馬の座敷、牛の座敷と続き、十二を見終えて十三番目の襖を開けると、そこは鶏の座敷であった。踏み込んだ途端、女は雌鶏になってしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。