日の赤子と呼ばれた酸漿
どんな伝承か
昔、或る旅人が山の中を旅して、一軒家を見つけてそこに宿をとった。翌朝起きて畑を見ると、美しい酸漿がたくさん紅く実っていたので、一つ取って中の種を出し、口に含んでプリプリと吹き鳴らしていた。それを家の人が見つけ、ひどく驚いて、お客様は大変なことをしてしまった、今に大変な罰が当たると言って顔色を変えた。旅人も心配になって訳を尋ねると、毎朝東から出て西へ沈む日は、夜になると地の下を潜ってこの酸漿の中へ一つ一つ入るのだ、それでこんなに紅くなる、酸漿は日の赤ん坊だからと語ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。