毒と偽られた寺の梨
どんな伝承か
山寺の庭に一本の梨の木があり、秋になって実が黄色く色付いた。和尚はあれは毒の実で食えば死ぬと堅く小僧に言い聞かせておきながら、自分は時折そっと採って食べていた。或る日、和尚の留守に鳥が飛んで来て梨を食い、誤って一つ落とした。鳥が一向に死なないので、小僧も試しに拾って食べてみると、頭が鳴るほど甘く、死ぬどころか気持ちまで清々した。騙されていたと知った小僧は梨をたくさん食い、わざと和尚の大事な皿を割ってから布団をかぶって寝て、帰った和尚には、詫びに毒の実を食べたので今に死ぬのだと答えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。