経に布施の分け前を混ぜた和尚
どんな伝承か
ある寺の和尚と小僧が檀家の法事に呼ばれると、布施の上包みに四貫八百と書いてあった。和尚は経を読みながら横目でそれを見てほくそ笑み、今日の手間は小僧に八百、自分に四貫と経の文句に混ぜて唱え、木魚を叩いた。小僧たちは負けずに、和尚は強欲だと節をつけて唱えながら鉦を鳴らした。寺に戻ると和尚は唱えたとおり四貫を自分が取り、小僧には八百しか渡さなかったので、小僧はいつかこの仕返しをしてやろうと心に決めた。
原典より
和尚小僧が檀家から帰ると、和尚様はお経に交てて踊んだ通りに、自分で四貫取つて小僧には八百しかあづけなかつた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。