歌で田楽を取り合う和尚と小僧
どんな伝承か
ある寺の和尚が田楽豆腐を二十串、炉にずらりと刺して焼いた。ひとり占めしたい和尚は、二人の小僧に歌を詠んで豆腐を取り合おうと持ちかけ、まず自分から、小僧二人は憎しと詠んで二串を取り、まねできるかと得意顔をした。すると兄弟子が、お釈迦様の前の薬師と詠んで八串を取った。最後にいちばん小さい弟子が、小僧がよければ和尚は得しと詠んで、残る十串をそっくり取り、誰よりも得をしたという。串の数を歌に掛けた頓知の話である。
原典より
或寺の和尚様が、デンガク豆腐を二十串、ズラリと炉に並べて刺して焼いた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。