鼬の怪火と大入道
どんな伝承か
徳田村大字高田の高伝寺で、毎夜本堂に怪火が燃え上がり、その影から恐ろしい大入道が現れるので、寺では檀徒を頼んで夜番をしてもらっていた。何しろ毎夜のことなので人々も不審に思い、狐だろう狸だろうという評判であった。ある冬の、小雪がさらっと降った朝、寺の周囲を見て歩くと、鼬が本堂から抜け出して行った足跡があった。どこへ行ったかと後を追って行くと、隣家の木小屋の薪を積んだ下に入ったので、村人が大勢で取り巻いて薪を取り退けてみると鼬の巣があった。その巣の中から古鼬を捕えて殺した。すると、その夜から寺の怪火も大入道も現れなくなった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。