ゴンボ猫と羽埋場の獣の酒盛り
どんな伝承か
小野赤沼の界隈には、名の知れた狐や鼬が住んでいたという。無双堂のタンガラ転ばしという鼬、羽埋場のせいたか坊主という鼬、物木作の紋次郎狐、寺前のゴンボ猫、和久の和正院狐といった顔ぶれである。タンガラ転ばしは夜更けになると現れ、小豆を洗おうか人を取って食おうかと唱えながら、川で小豆を磨いでいたと語られる。ゴンボ猫とは尻尾がぷつりと切れた猫のことをいう。これらの獣は羽埋場の大きな石の上に集まって、よく酒盛りをした。寺前のゴンボ猫がいつも遅れて来るので、あいつが来ないうちは調子が揃わないと歌いながら踊っていたそうである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
小野町史 民俗編――伝説(小野町(編)・小野町史)
『小野町史 民俗編――伝説』は、小野町が編んだ町史の民俗編から、第九章「ことばと伝承」の第一節「伝説」を収めたものである。田村郡小野庄にあたる町内の館主や城主の没落、坂上田村麻呂や八幡太郎、小野篁・小野小町にまつわる話、デンスケ坊の祟り、河童の恩返し、大蛇や名石・埋宝の話など五十四編を、大半は地元の人からの聞き書きで収める。村川友彦の「はじめに」と地域の特色の解説を置き、伝説を大字(旧村)ごとに並べ、語り手の名を添える。