一本橋で正体が露見したヒサゴ塚の狐
どんな伝承か
坂戸の尾牛台には昔から砦があったと伝わり、その中心のヒサゴ塚には狐の穴があって、ハッチムギツネと呼ばれる狐がすんでいた。毎年五月に子が生まれて親狐の鳴く声がすると、崖下の旧家ハッチムでは赤飯を炊いて重箱で穴の口へ届け、数日たつと重箱はきれいに洗われて台所の口に返っていたという。ある夜、主人がよその村から遅く帰るとき、狐が下男に化けて提灯を下げ迎えに来た。家の下の小川の一本橋を主人は歩いて渡ったが、下男は提灯を持ったままぴょんと跳び越えた。主人がとがめると下男の姿は消え、狐が尾牛台のほうへ走り去ったという。
原典より
塚には狐の住む穴があり、そこにすむ狐は「ハッチムギツネ」と呼ばれている。—— 佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史)
『佐倉市史 民俗編――伝説・怪異』は、千葉県佐倉市の市史の民俗編のうち、第七章「民俗知識」と第八章「口承文芸」の伝説の節である。市内で採録した吉凶の予兆やまじない、民間薬、天気の言い伝えと、狐や狸の化かし、デーダラボーの足跡、岩富の首なし塚、天狗、狐火、印旛沼のカワボタルなどの伝説を収める。伝説は文化財保護委員会の分類に倣って自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説に分け、終わりに村々の禁忌を置く。