トリガネの池の水蜘蛛と蛇退治
どんな伝承か
奈良熊のトリガネの池に伝わる話で、昔話の賢淵が伝説になったもの。昔、池に棲む蛇が人をとるので、坂本のニシェという家の弓を引く者が退治に出た。池の端で弓を張り、足半草履で切株を踏んで待つと、池の中ほどから蜘蛛が現れ、草履の端に糸をかけては沈むのを三度くり返した。怪しんで糸を切株へ掛け替えると切株が抜け、大口を開けた蛇が出てきたので、その口に矢を射込んだ。その夜、泊めてくれと訪ねてきた女を断ると、西の破風から蛇の姿でのぞき、この家にも青蓬を生やしてやると言い残した。矢の落ちた所を矢落し山、蛇が死んでいた山をウチカケという。破風をつけるなという戒めを破ったその家は、今は絶えたという。
原典より
急に、マホウ蜘蛛が池の真中から出て来て、足半草履の角にイエギ(蜘蛛の糸)をかけては池の中に入り、それを三遍繰り返した。—— 備中町史 民俗編 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
備中町史 民俗編
『備中町史 民俗編』は、備中町の町史のうち民俗を扱った編の一部である。語り手の名を添えた昔話「蚯蚓と蛇と眼交換」と、町に伝わる伝説の解説、方言の一覧の書き出しを収める。伝説の項は、伝説と昔話の違いを述べたうえで、弘法大師の石芋や三度栗、トリガネの池の水蜘蛛話、天神山の天神様、越山の六地蔵、吉備津彦の黒鳥退治、人待田などを短く紹介する。