北里病院の地に立っていた物見の松
どんな伝承か
石戸宿の農業試験場の跡地、いまの北里病院の本館が建つあたりに、物見の松と呼ばれるひときわ大きな松が立っていた。北本市史の民俗編は、市内に残る名木や地名のいわれを土地の人から聞き集めており、この松も高尾に住む大正十五年生まれの新井恒治が語ったものとして採られている。同じ聞き書きには、高尾の氷川社の神木から龍灯が昇るのを見たという万治三年の一件や、阿弥陀堂のわきに立つなんじゃもんじゃの木なども並んでいる。物見の松はすでに姿を消し、名と場所だけが伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北本市史 第6巻(民俗編)――伝説(北本市(編)・北本市史)
『北本市史 第6巻(民俗編)――伝説』は、北本市の市史民俗編のうち、第十一章「伝説・世間話・昔話・諺」の冒頭部分である。章の「はじめに」で四者の性格を説いたのち、第一節「伝説」に蒲桜・龍灯杉・一夜堤や多くの塚の伝承、送りオオカミ・河童・禁忌動物、おたきあげ・十日夜の由来など四十二項目を収める。多くの項目は見出しに石戸宿・高尾などの伝承地を添え、話者名や「埼玉県伝説集成」などの出典を▽で示す。(197字)