泉蔵院近くの谷に出た小豆とぎばばあ
どんな伝承か
昔、高尾村に泉蔵院という寺があり、その近くに昼でも暗い大きな森があった。森の真ん中には底も見えないほど深い谷があり、谷底では清水の流れる音が響いていた。ある夕暮れ、遊び疲れた村の子どもたちが谷のそばを通ると、底の方から小豆を洗うようなザッキゴッキという音がかすかに聞こえてきた。のぞき込むと一面の笹がざわっと揺れ、子どもは飛ぶように家へ逃げ帰った。小豆ババアが出るといううわさは村中に広まり、人々は鬼婆が谷底で小豆を洗っていると信じて恐れた。大人たちは言うことをきかない子を、小豆ババアがトガマで首を切りに来るぞとおどしたという。
原典より
すると谷の底から、かすかに「ザッキゴッキ、ザッキゴッキ」と小豆を洗うような音が聞こえてきました。—— 北本市史 第6巻(民俗編)――伝説(北本市(編)・北本市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北本市史 第6巻(民俗編)――伝説(北本市(編)・北本市史)
『北本市史 第6巻(民俗編)――伝説』は、北本市の市史民俗編のうち、第十一章「伝説・世間話・昔話・諺」の冒頭部分である。章の「はじめに」で四者の性格を説いたのち、第一節「伝説」に蒲桜・龍灯杉・一夜堤や多くの塚の伝承、送りオオカミ・河童・禁忌動物、おたきあげ・十日夜の由来など四十二項目を収める。多くの項目は見出しに石戸宿・高尾などの伝承地を添え、話者名や「埼玉県伝説集成」などの出典を▽で示す。(197字)