弘法様の井戸
どんな伝承か
ある夏の暑いとき、一人の坊さんが海の口の市場を通りかかり、一軒の家に寄って「一杯水をくれ」といった。おばあさんは、ここは水がないのでくんできてあげようといい、昼さ中に遠くまで行って水をくんできてやった。坊さんはそれをうまそうに飲み、遠くまで水をくみにいくのは難儀だろう、近くに水が出るようにしてやろうといって、固いなべ土のあるあたりを杖でついた。すると良い水が出てきた。あとになって、その坊さんは弘法様だったとわかったという。
原典より
ある夏の暑いとき、お坊さんが海の口の市場を通った。—— 南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌)
『南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話』は、長野県南佐久郡の郡誌民俗編から、第十三章「伝説と歌謡」の昔話・伝説・世間話の部分を収めたものである。郡内に伝わる鳥呑み爺や古屋のもりなど十一話の昔話、離山・白駒の池・おかんばあさんなどの伝説、光り物・あずきとぎ・天狗・かっぱ・狐火・家つき童子などの世間話を集める。伝説の後半には藤沢衛彦編『日本伝説叢書・信濃の巻』から佐久に関わる話を原文のまま引き、世間話は話題ごとに体験談を並べる。