竹筒に針を詰めた生霊の封じこめ
どんな伝承か
高知県幡多郡のある村では、生霊を落とす際に封じこめという呪術を行うこともあった。昭和二十八年、胸膜炎で入院した二十九歳の男性について、母親が生霊のせいだと言われ、自宅に祈禱師と代わりの女を呼んだ。女に移った生霊は、うまいものを食いに来たと答え、その声は同じ村の年配の女にそっくりだったという。祈禱師が投げる御幣はなかなか向こう向きに倒れず、酒を何杯か飲ませてようやく倒れた。たちの悪い生霊だとして、太い木綿針を入れた竹筒を生霊の通り道に埋めて封じた。男性はのちに手術を受けて全快したが、代わりを務めた女は次々と病に倒れ、寝たきりになったという。
原典より
これは、一尺くらいの長さの竹筒の中に太い木綿針を数本入れて、これを自分の家とダイニンの家との途中、つまり生霊の通り道に埋め、生霊の活動を封ずるまじないである。—— 呪術――その現代に生きる機能(吉田禎吾・吉田禎吾・社会人類学・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
呪術――その現代に生きる機能(吉田禎吾・吉田禎吾・社会人類学・1970年(昭和45年))
『呪術――その現代に生きる機能』は、吉田禎吾が一九七〇年に著した文化人類学の概説書である。日本の雨乞いや迷信、山陰のキツネ持ち・四国の犬神筋といった憑きものの家筋から、アフリカの妖術・邪術、インドネシアの祈禱師まで、各地の呪術を取り上げる。日常生活の中の呪術から呪術の論理と現代まで七章で構成し、呪術が不安をやわらげ社会の秩序を保つ働きを持つことを論じる。