万年寺檀家の味噌汁
どんな伝承か
万年寺の修普請のとき、人足たちが何か困らせてやろうというので、御飯を食べずに味噌汁だけ飲んで困らせようと話が決まったという。それを聞いた寺方は大変なことだというので、頼朝が泊まった時に使ったという大きな鍋が三つばかりあったから、それで湯を沸かし、味噌がそんなにあるわけではないので味噌で色をつけ、あとは塩を入れて味噌汁をつくって出した。人足がいくら飲んでも飲みきれなかったので、万年寺の檀家にはこれほど飲んでも尽きぬ味噌があるのだと噂され、万年寺檀家は味噌汁が好きだと言われるようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
向原の民俗 上――昔話・伝説・怪異(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告)
『向原の民俗 上――昔話・伝説・怪異』は、民俗調査報告の第九号・第十号にあたる向原の民俗誌の上巻から、「IX 口承文芸」の章を収めたものである。昭和五十六年から五十七年にかけて向原の話者から聞き書きした昔話十一話、伝説二十四話、天狗や狐、河童、ヒトダマをめぐる世間話二十七話のほか、富士山にまつわる諺と方言を収める。各節の初めに題名・分類・話者の生年・採集日を記した分類表を置き、話は土地の言葉のまま書き起こして話者名を添える。