鎌で台風を切りイモリで恋を叶えるまじない
どんな伝承か
大治町には、台風や魔を退ける、さまざまなまじないが伝わる。台風の目を切るために鎌の刃を竿竹に結びつけて風に向けて屋根に立て、拍子木を叩いて追い払う所が多く、竹の先に鎌を付けて屋敷のカドに立て、母屋の裏戸を少し開けておく所もある。節分には焼いたイワシの頭と柊を戸口に吊るして魔よけにする。破風板に書いた「水」の字は火事よけになる。焼いたイモリを好きな女に投げつけると思いが通じ、ヘビの抜け殻を財布に入れると金持ちになり、長居の客を帰すには箒を逆さにして手拭いをかぶせるという。
原典より
台風の目を切るために、鎌の刃を竿竹に結い、風に向けて屋根に立て、拍子木を叩いて追い払う(馬島、花常、西条)。—— 大治町民俗誌 下――霊と神・怪異・俗信(大治町(編)・大治町民俗誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大治町民俗誌 下――霊と神・怪異・俗信(大治町(編)・大治町民俗誌)
『大治町民俗誌 下――霊と神・怪異・俗信』は、名古屋に接する尾張の大治町の民俗誌の下巻から、信仰にかかわる節を収めたものである。辻の地蔵や秋葉・津島の小祠、荒神・井戸神などムラとイエの神、天王祭り・虫送り・雨乞いなどの祈願、キツネツキ・タヌキ・天狗の神隠し・火の玉・ナンドババアの怪異を、大字ごとの聞き書きで記す。第五節から第九節までで、予兆・禁忌・まじない・民間療法を挙げる俗信の節と、高度経済成長後の信仰の変化を述べる節で終わる。