額の蠟燭と口にくわえる櫛の魔除け
どんな伝承か
著者は昭和二十年の末、宮城県志田郡鹿島台村の深谷に住んでいた。その頃この地では、女が夜分に用事があって山道を通るとき、額に蠟燭を立てて火を点し、口には櫛をくわえると聞いたという。これは魔除けである。山には山の女や妖しきものが出ると信じられ、山中に人影のない屋敷を見出し、ただ鉄瓶の湯のたぎる音だけがするという話も語られていた。夜の山道を行く女が身につけたこの作法は、そうした山の怪異から身を守るためのものであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・昭和中期(1977年頃))
ザシキワラシ(座敷童子)と福の神(怪談の世界)/遠野・東北の怪異伝承/家運の盛衰と怪音/妖怪と幽霊譚/山田野理夫の怪談採集