効き過ぎて大水を招く軽率な雨乞い
どんな伝承か
大治ではどの大字にも雨乞いをした覚えがあった。鎌須賀では氏神に願をかけ、それでも降らなければ北伊勢の多度神社へ年番が詣り、金幣・白幣を受けて途中で一度も休まずに帰る。休むとその場に雨が落ちて御利益が失せるという。八ツ屋は各戸から一人出す総詣りで、金幣は効きが強すぎて大雨になるといい黒幣を受けてきた。西条は水利に恵まれ旱魃に苦しむことが少なく、雨乞いはめったにしない。軽々しく雨乞いをすると効き目があり過ぎて大水になると考えられていたからである。それでも田植えの前後に日照りが続き、多度詣りをしたことはあったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大治町民俗誌 下――霊と神・怪異・俗信(大治町(編)・大治町民俗誌)
『大治町民俗誌 下――霊と神・怪異・俗信』は、名古屋に接する尾張の大治町の民俗誌の下巻から、信仰にかかわる節を収めたものである。辻の地蔵や秋葉・津島の小祠、荒神・井戸神などムラとイエの神、天王祭り・虫送り・雨乞いなどの祈願、キツネツキ・タヌキ・天狗の神隠し・火の玉・ナンドババアの怪異を、大字ごとの聞き書きで記す。第五節から第九節までで、予兆・禁忌・まじない・民間療法を挙げる俗信の節と、高度経済成長後の信仰の変化を述べる節で終わる。