影が都へ届いた長安寺の巨杉
どんな伝承か
昔、日頃市の長安寺の境内に杉の大木があった。あまりに巨大で、その影が時折り遠く京の都のある公卿の屋敷にまで映ることがあったという。公卿はこれを嫌い、人を遣わして木を切るよう命じた。寺では切り倒そうとしたが一日では終わらず、翌日行くと前日切った木屑がみな集まって切口を埋め、伐った跡が見えなくなっていた。三日間村中総出で斧をふるっても同じであった。そこへ小通部落の方から葦毛の馬に白髪の老人が乗って通りかかり、切った木片をその場で焼き捨てればよいと教えた。その通りにすると難なく倒れ、老人は仏の化身であったと気づいたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。