魚群を見張った色見場ムカイ山
どんな伝承か
大船渡の高台に賀茂神社が建っている。その足もとには鋭く削られたような崖が立っており、これが昔ムカイ山と呼ばれた丘の名残だという。ムカイ山は色見場とも呼ばれ、漁師が湾へ押し寄せる魚群を見張る場所だった。丘には漁師が一日交代で立ち、天馬という網元が仕切っていた。右手にはカマサキというもう一つの色見場があり、互いに湾の様子を知らせ合った。鰯の大群が入ると海の色は真っ青に変わり、やがて白波が沸き立つ。それを見ると見張りが赤い旗を振り、カマサキで待つ母船と前船が網を積んで魚群へ向かったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。