三度の呼び声に助かった三郎
どんな伝承か
今出山の頂上から南へ少し行くと、越喜来の甫嶺の方に面して苔むした墓が建っている。この墓は俗にサブ墓、三郎墓と呼ばれる。昔、猪川に三郎という若者がおり、信心深く誰にも親切な働き者で、みなから可愛がられていた。三郎は近くの金山で働きながら朝夕山の神を拝んでいた。ある日、三郎の掘る坑内の奥から小牛ほどもある金塊が出て、坑内で酒盛りが始まった。宴のさなか、表から誰かが「さぶやーい」と呼ぶ声が二度聞こえ、外へ出ても人影はなかった。三度目の鋭い声に飛び出したとたん、山津波のような音とともに坑道が崩れ、残った者は皆生き埋めになった。助かったのは三郎ただ一人であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。