大岩から女神像へ移った山の神
どんな伝承か
下河内は戦後の開拓村で、昭和二十五年に二十三戸が入植して開かれた。下河内神社はそこで新たに祀られはじめた社である。祭神は大山祇神だが、入植の二年目からは山の神も祀るようになった。今の社殿は昭和三十二年に建てられたもので、それまでは社の背後に立つ大岩へ祭日ごとにシメを張り、鳥居を据えて祭りが営まれていた。本殿に納まるのは山の神の女神像である。自然の大岩をご神体としていたものが、社殿と女神像という人の手になるご神体へ移り変わってきたわけである。祭日は旧暦八月十五日で、呼び呼ばれがあり踊りもある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術(天栄村(編)・天栄村史)
『天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術』は、岩瀬郡天栄村が編んだ村史のうち民俗を扱う巻である。第八章「信仰伝承」では、旧村ごとの鎮守と鎮守以外の神々、寺院・仏堂・修験、家や生業の神々、道切りなどの呪術と禁忌、口寄せをするワカドノ、キツネツキ、オシンメイサマ、小豆洗いなどの妖怪、講を扱う。『白河風土記』や明治十一年の神社明細帳の記載と土地での聞き書きを照らし、近世から近代への移り変わりを記す。