片目の八幡神と鶏を飼わぬ村
どんな伝承か
湯本の温泉八幡神社の神は片目だという。八幡の神が鶏に驚き、その拍子にゴマで目を突いてしまったからで、それゆえ湯本では鶏を飼わない。同じ名の温泉八幡神社は野仲にもあり、こちらでは神が鶏の鳴き声をうるさがって追い立てた際、ジシャガラの木で目を突いたと伝える。そのため野仲でも鶏は飼わないという。こうした家例の禁忌は一軒の家にとどまらず、マケ、さらには村全体へ広がることがあった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術(天栄村(編)・天栄村史)
『天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術』は、岩瀬郡天栄村が編んだ村史のうち民俗を扱う巻である。第八章「信仰伝承」では、旧村ごとの鎮守と鎮守以外の神々、寺院・仏堂・修験、家や生業の神々、道切りなどの呪術と禁忌、口寄せをするワカドノ、キツネツキ、オシンメイサマ、小豆洗いなどの妖怪、講を扱う。『白河風土記』や明治十一年の神社明細帳の記載と土地での聞き書きを照らし、近世から近代への移り変わりを記す。